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翌日一朗はお母さんと一緒にやってきた。
私は一朗を見て、「よく来たな。約束を守ってくれてありがとう」と。
お母さんには、テストを行ったあと昨日の授業の補講をするので、
8時半にお迎えをお願いする旨を伝えた。

塾生の出迎えを終えて教室に入ったら一朗は
今日のテストのところを見直していた。
こういった姿をみれば結果は自ずと想像できる。
しかし、私は「本気になってやりなさい。気を抜かないこと」と。
スラスラ鉛筆が動く。
一朗の「できました」の声を聞いて採点を行った。
2問ミスで94点。
一朗は悔しそうな顔をした。
私が「悔しいか?」と聞くと
一朗は「はい」と。
こういった気持ちの積み上げが自信となり、
次回へのやる気へと繋がる。

私は次にこういった。
「今日は個別指導の時間に一朗の枠を入れたので
昨日の授業で進んだところをやって行く。
わからないところはどんどん聞きなさい」と。

教師1に対して生徒2の上野塾プライベート個別を
一朗は初めて体験した。
私が真ん中に座って、左に一朗、右にもうひとり(仮称:康平)
康平は小6から私の個別英語を受けて来た生徒。
中1の今回の教科書改定も容易に理解ができる文法力を備えている。
be動詞でも一般動詞でも助動詞canでも肯定文、疑問文、否定文は
きちんと英作できる。三人称単数のs、es、doesもクリアできた状態での
中学1年英語のスタートを迎えた。
康平は、自信を持って答案を解いて行く。

それを見た一朗は自分がまだまだだと感じた。
人と比べなくても良いと私は言った。
その気持は何ら変わらない。
しかし、今の自分の立ち位置は知って置く時も必要だと伝えた。
個別で自分のペースで進める。
康平のように、スポンジが水を吸収するように
理解して行くような個別指導もあれば、
一週間経つと忘れてしまうため、
同じことを何度も何度も繰り返し行う個別指導もある。

一朗はどちらかと言えば後者のタイプだが
今日の個別は一生懸命自分のわからないところを聞いてきた。
時間は掛かるが一朗にとっては満足した時間だったと思う。
昨日の一斉授業の中で伝えたところまでしっかり付いてきた。
私が「今日塾に来て良かったか?」と聞けば
一朗は「はい」と。

今日の様子をお母さんに話した。
「テストは94点。授業もきちんと付いてきました」と。
すると一朗が呟いた。
「今日のような授業がいい」と。

私はそれも有りかなと思ったが
「いや、一斉クラスでやろう」と・・・。

「人は自分ひとりで生きて行けないよな。
一朗は野球をやっている中で個人の技術の向上と
チームの結束力の大切さを感じていると思う。
自分の技術の向上だけでチームは関係ないという者は成長しない。
プロ野球は違うよ。個人技の向上こそがチームへの貢献の大要因だ。
でもクラブチームの野球、中学の勉強、高校受験は周りの様子を見ることで
自分の足りないところや甘さを感じ、それを次へのエネルギーにしていく。
正に『受験やクラブチームは団体戦』だと思うよ。
自分に厳しくなれてこそ、人に自分の意思が伝わる。
自分に甘い者は人に物を言う資格はない。
一斉クラスでやって行こう。そこで自分の立ち位置を確認して、
もう一つ高い壁を乗り越えることに挑戦して欲しい。
また、躓いた時は個別に呼んでやるよ。
先生は一朗をきちんと見ているから」と・・・。
お母さんも一朗も「はい、お願いします」と。

何をやるにも近道など求めてはいけない。
遠回りしていること、こんなこと無駄かなということでも、
後から思えばそれが近道であったりすることもある。
大好きなICHIRO(鈴木一朗)さんも言っていること。

私はもう少し子どもたちを応援したいと思う。

(終わり)

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